今よみがえる伝説の名演奏


ヘルベルト・フォン・カラヤンとレナード・バーンスタイン

クラシック音楽館 今よみがえる伝説の名演奏

「よみがえる伝説の名演奏」

必見の音楽情報。今夜の9時から、NHK ETVで放送される「クラシック音楽館」は録画必須です。


BSでも放送されたものですが、1970年代に撮影されたカラヤンとバーンスタインの映像が、最新技術で美しくなり、音もミキシングし直されて高音質で楽しめます。ドイツで冷凍保存されていた巨匠たちの名演、35ミリネガフィルムを8Kの高精細映像と立体音響でリマスター。新しい映像コンテンツに生まれ変わりました。

チャイコフスキーの悲愴交響曲と、マーラーの交響曲5番。貴重映像を超えた、内容になっています。このセレクトはカラヤンとバーンスタイン、両巨匠の個性が最も分かりやすい演奏です。

目を閉じて瞑想しているような表情のカラヤン。手のひらは見せることなく、手の甲と指先の動きで音楽の表情をつけていく。対して、全身でリズムを表現し、タクトの先には心の火を灯すようにオーケストラに魔法をかけて音楽の感情を作っていくバーンスタイン。 これからもわたしがよく例えに上げる、カラヤン・バーンスタイン感を、繰り返し見直せるようにして楽しんでください。

両巨匠の個性の楽しみ方。

第二次世界大戦中は、ナチスに協力する顔をしてドイツに留まったザルツブルグ生まれのカラヤン。アメリカで生まれアメリカで育ったバーンスタインがカラヤンと初めてであったのは1948年。カラヤン40歳、バーンスタイン30歳のときでした。

その頃ウィーンでバーンスタインの演奏する日がある時は、前日と翌日にカラヤンの演奏会が開かれていたそうです。バーンスタインは「カラヤンの音楽は嫌いだが、ヤツの顔を見てみたい」とマネージャーにいったが、「あなたが行けば、マスコミがスキャンダラスに書き立てるから」と制された。そこで、翌日、演奏会へではなくお忍びでカラヤンの楽屋に行った。

その後も立場的にもライバル的態度を世間にはとったが、二人はお互いを認めあっていた。

カラヤンが亡くなるしばらく前のこと、カラヤンはバーンスタインに合同演奏会を持ちかける、バーンスタインは誘いを受けた。その時カラヤンが「ベルリン・フィル、ウィーン・フィルのどちらを指揮したいか」と尋ねたところ、バーンスタインは「ベルリン・フィルの音楽家は甘やかされすぎて、最早カラヤンを常任指揮者として望まなくなっている」という理由からウィーン・フィルでの演奏会を望んだ。

左手の指先から音楽のドラマが生まれ出る

今夜の番組でも、カラヤンはベルリン・フィルを振り、バーンスタインはウィーン・フィルとの演奏会。カラヤンが何を演奏しているのかというのは、左手の形でわかります。ベートーヴェンの運命では、肘をしっかり指先でガシッと掴む感じです。カラヤンの右手はなめらかに動いていますが、左手は胸の前に固定されています。その指の形に注意して観ましょう。